真円。その幾何学的・造形的な美。深遠。
そこから発ってみても、外周をなぞって元の所に戻ってしまう。
飛び立つならいずれ地に降り、
作られたならいずれ壊され、
生まれたなら、いずれ亡くなる。
全てが回帰。怪奇。
世は絶えず回転を続け、
立ち止まっていても流れに飲み込まれ、
やがて磨り減り、朽ち果てる。
何処まで行っても満たされない三日月の僕。
逆行もままならないならば、
いっそ満月の所為にして、
逆光を浴びながら、
何処までも狂ってみたい、貴方と二人。
円い月がこんなにも綺麗な夜だから。
2005年5月心色没原稿より