僕は昔、テキストサイトに憧れていた。
はてなアンテナを使って、毎日毎日いくつものサイトを巡回して。
テキストを読み、笑い転げ、感心し、驚き、戦慄して。
どうしてこの人たちは、文章だけで、文字だけで、こんなにも面白いことができるのかと。
疑問だった。不思議だった。不可解だった。
「文字を書くことなら、僕にだって出来る」
毎日毎日、更新した。
企画を開き、オフ会を開き、ネットラジオを放送した。
24時間耐久で更新したり、スク水を着たこともあった。
やれるだけ、いろんなテキストサイトの真似事を、してみた。
僕のサイトは、テキストサイトになれなかった。
そもそも、僕の書くテキストは、とにかくつまらない。
どれだけ文字量を積み重ねても、一向に上達・洗練の気配なく。
続けるほどに、絶望は深くなるばかり。
たとえ他人が認めてくれたとしても。
自分だけは、決して認められなかった。
「こんなのは、テキストサイトじゃない」
もうすっかり、更新も途絶えてしまって。
たくさんのサイトが閉鎖してしまって。
『テキストサイト』が死語になってしまって。
それでも。
毎年レンタルサーバとドメイン料金を払い続けているのは。
この廃墟を、維持し続けているのは。
こうして今、文字を連ねているのは。
僕は今も、テキストサイトに憧れているから。
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